

競馬は単なるギャンブルではなく、ドラマチックなスポーツです。
競走馬の魅力は強さだけにとどまりません。性格やビジュアル、走り方など一頭ごとに豊かな個性があり、好きな馬や応援したい馬がいる方も多いのではないでしょうか?
一般的に脚光を浴びるのは現役馬ですが、引退後も彼らの長い一生は続いていきます。
当サイトでは、引退馬がどのような暮らしを送るのか、また、ソフト競馬をはじめとする引退馬を支援する方法について紹介します。

競走馬の寿命は、一般的に20~30歳と言われています。
繁殖に上がった馬ほど寿命が短くなる傾向にあるため、一概には言えません。
JRA(中央競馬)の場合、2~3歳でデビューして、4~7歳頃に引退を迎えます。
晩成型を除けば、4歳秋ごろから能力に衰えが見え始めるほか、時には怪我によって志半ばで引退を余儀なくされる馬も少なくありません。
引退後も本来であれば長い余生が待っているはずなのですが、多額の維持費などを理由に処分されてしまうケースも多いのが現状です。
馬の年齢を人間に換算すると、1歳が約6歳に相当するとされています。
2歳でデビューを迎える馬は、人間の年齢でいう12歳頃から現役生活が始まり、クラシックの時は10代後半から20歳前後に相当します。
多くの馬は、人間でいえば30代に差し掛かる頃には現役を引退していて、本来であればそこから穏やかな余生が始まるはずです。
しかし、現役時代の競走馬は心身を酷使され、各地への輸送も大きな負担になっています。
勝負の世界である以上は、全ての馬が望ましい結果を残せるわけではありません。
果たして現役を退いた競走馬たちには、引退後どのような暮らしが待っているのでしょうか?
競走馬は毎年、多くの頭数が引退を迎えています。
中央競馬・地方競馬を合わせると、年間で数千頭の馬が競走生活を終えると言われています。
毎年、新馬として登録される馬が約7,000頭にのぼるため、平均すると同程度の年間約7,000頭が引退していることになります。
引退後の進路は様々で、全ての馬が同じ道を歩むわけではありません。
競馬の世界を離れた後も、新しい役割を担い、人と関わりながら生きていく馬も数多く存在します。
代表的な進路として、次のようなものがあります。

競馬ファンが最初に思い浮かべる進路かもしれませんが、実際に繁殖馬となれるのはごく一部に限られます。
牝馬は成績に加え血統なども考慮され、繁殖牝馬になるケースが比較的に多い一方で、牡馬は非常に狭き門です。
中央競馬の場合、最低でも重賞を勝っていないと種牡馬入りが難しい現状があります。
その他のケースとしては、全きょうだい馬が圧倒的な成績を残した際の補欠的繁殖入りや、大種牡馬や希少な血統の持ち主である父馬が早逝した場合に限ります。
また、繁殖馬になっても生涯にわたって役目を全うできるとは限らず、受胎率や産駒の成績、健康上の問題で繁殖から離れてしまう馬もいます。

引退馬の中でも多い進路は、乗馬クラブで活躍する道です。
競走馬から乗用馬として再調教され、初心者のレッスンや体験乗馬などで人を乗せる役割を担います。
競走馬はもともと学習能力や運動能力が高く、人と関わることにも慣れているため、乗馬クラブでも活躍できる個体が多いのも特徴です。
ただし、需要と供給のバランスがあり、毎年引退する数千頭もの馬を全て受け入れられない環境が整っていないのが実情です。
競馬場でファンを出迎える誘導馬も、引退した競走馬が担うことがあります。
レース前にコースへ出てきて、観客の前を凛々しく歩く姿を見たことがある方も多いでしょう。
誘導馬には白毛や芦毛のような毛色のほか、穏やかな性格の馬が選ばれやすく、競馬ファンと身近に接することができる進路でもあります。
近年注目されているのが、馬を使ったセラピー活動です。
馬と触れ合うことで心を落ち着かせたり、コミュニケーション能力を育てたりする効果が期待されています。
海外ではホースセラピーと呼ばれ、日本でも少しずつその有用性が認められ、活動の場が広がってきています。

引退した馬たちが静かに余生を過ごすための牧場があります。
こうした牧場は養老牧場と呼ばれ、競走生活を終えた馬を受け入れる役割を担っています。
養老牧場に入る費用は、1頭につき月額7〜15万円ほどが相場です。
競走馬としての役割を終えたあとに穏やかな環境で暮らせる場所を提供することは、引退馬支援の重要な取り組みのひとつです。
残念ながら、すべての競走馬が引退後に新しい役割を得られるわけではありません。
競走馬は体が大きく、飼育には広い土地や多額の飼料費といった膨大な維持費がかかります。
そのため引退後の受け入れ先が見つからない場合、やむを得ず殺処分という選択がなされるケースも存在します。
そもそも競走馬になるための調教試験に合格できなかった馬、若くして怪我で引退した馬、気性の問題で再調教が難しい馬などは行き場を失うリスクが高いのが現状です。
現在、競馬関係者や支援団体では、こうした状況を減らすために引退馬の受け入れや支援活動を精力的に進めています。
引退した競走馬の「その後」を支える取り組みは、年々広がりつつあります。

引退した競走馬を支援する方法は、寄付による支援と馬と触れあえるサービスを利用するものがあります。
直接的な支援として最も手っ取り早い方法が寄付です。
現在はインターネットを通じて、少額からでも手軽に寄付できる仕組みが整っています。
また、乗馬クラブなど引退馬が生活しているサービスを利用することも、しっかりと貢献できる支援活動です。
引退馬支援の代表的な組織としては、JRA日本中央競馬会をはじめ、認定NPO法人引退馬協会などが挙げられます。
全国規模で活動している団体だけでも複数ますが、さらに地域密着型の乗馬クラブのように個別で引退馬を受け入れている施設や団体も数多くあります。
寄付や支援の方法にも様々な選択肢がありますので、まずは活動内容を調べ、支援の形に最も共感できる団体を見つけてみてください。
馬と触れ合い、関わりを持つ方法には、乗馬のほかにアニマルセラピーや触れあいイベントなどの各種催し事への参加などがあります。
人気が高いのは乗馬ですが、費用や怪我のリスクが気になる方は、引退馬を活用したアニマルセラピーや触れあいイベントから利用してみるとよいでしょう。
こうした馬との関わりを持てるサービスを積極的に利用することは、引退馬の継続的な支援に繋がり殺処分を減らす取り組みへの大きな貢献となります。

競馬というスポーツは、レースの迫力や勝敗のドラマだけでなく、馬と人の長い関係によって成り立っています。
競走馬として活躍した時間は彼らの一生の一部であり、引退後にもまた、新しい役割や生活が待っているのです。
近年、引退馬と人が関わる文化が少しずつ広がってきました。
乗馬クラブで人を乗せる馬、牧場で静かな余生を過ごす馬、そしてセラピー活動で人を癒す馬。
引退馬たちは、さまざまな形で私たち人間との関係を築いています。
競馬を楽しんできた人が、レースのその先にある馬の生涯にも関心を持つことは、引退馬の環境を良くする大きな力になります。
寄付やボランティアはもちろん、馬との触れ合い体験や乗馬クラブの利用も、馬と人の関係を支える大切な行動のひとつです。
引退馬支援は、ソフト競馬をはじめとする様々な取り組みがあり、参加者が増えるほど、その取り組みの価値は高まっていきます。
競馬ファンの方はもちろん、動物や自然との関わりに興味がある方も、馬券の購入やレース観戦以外の馬との関わり方を探してみてください。
馬と人の優しい関係が、これからもより一層広がっていくことを願っています。